水引の色? 赤白・黒白・黄白・金銀・金赤
水引には、確かにいろいろな色があります。水引というのは古来より贈答品、ものを差し上げるときに結ぶ紐でした。現代、使用されている紅白といいますが、実際にはめでたいことには赤と白です。もとは紅は玉虫色に光る深緑色で、これが本来、皇室の色だったということです。NHKの紅白歌合戦といっても赤と白になっていて、だいぶ意味合いちがってきているといわれています。玉虫色に光る深緑色は水引の中では最高のレベルの高いもので、庶民が使ったら畏れ多いので使えません。水引という意味合いですが、二つの意味があります。水引は紙で作りますが、ひとつは昔に水引を作るとき、糊を塗って水を引いて、また糊を塗るというのを何回かやって作ったわけです。何度か水を引くので水引き。これはメーカー側の話、現実的な作り方からくる話になります。
精神論からきますと、穢れを祓うという発想が昔からありまして、コップなども次の人が使う前に水で洗います。水で洗うという意味があります。たとえば、誰かに帯、お扇子を差し上げるとき、穢れを祓おうというので水の中に浸けたらどうしようもないので、水引きをつけることで、水で禊を行ったという意味があります。
精神的に水で洗って、禊をしたきれいなものということで水引といいます。ですから、精神論からと、製造過程からの意味合いで水引という言葉がきています。水引は、時代は古く遡って飛鳥時代、聖徳太子が遣隋使を派遣しました。遣隋使のなかに小野妹子という人がいました。小野妹子は隋の国へ行き、日本のために向こうからお土産をいただいてきたんです。お土産をいただいたとき、紅白に分けたリボンみたいなものがありまして、これを紅(くれない)といったそうなんですが、隋の国はお土産物にはこういうことをするというのがスタートです。その前の日本には、品物に紐を結わえるという発想はなかったそうです。そこから大国の真似をしたというのが、ひとつのきっかけです。めでたい慶事には、結び紐も奇数、凶事には偶数。ここにも、めでたいことは奇数というのは生きているわけです。結婚式やお葬式には再びないよにという結び切りをします。ところが、めでたいことは、何度も繰り返してほしいということで返し結び、あわせ結び、あわじ結びという結び方があるそうです。ただ、切り結びになったり、あわせ結びになって何度も循環するかというと、めでたいことは繰り返してほしい。しかし結婚は繰り返してほしくない。悲しいことも繰り返してほしくない。そのときには結び切りで切ってしまうということが意味合いの中にあります。

中村嘉男氏(算命学総本校 高尾学館学校長)講演より
於:2001年7月18日 ホテル日航プリンセス京都