松竹梅はなぜ縁起が良くめでたいのか?
松竹梅の発想法は日本独自ではなく、中国から渡ってきた考え方です。
松竹梅と一概に言いますが、「松竹」と「梅」に分かれます。最近では、定食の値段の差にしていますが、どちらが上下ではなくトータルで意味があります。松が最初だから偉いかというと、必ずしもそういうことではないのです。
松と竹は冬の間の寒いときの風雪や厳寒に耐えて、ずっと緑色を保つということに意味合いがあります。梅は二月くらいに咲きます。桜など、ほかの花に先駆けて非常に早く咲くわけですが、ものごとの最初、いちばんに咲く花が梅であるということです。そして、清らかさ、高潔、節操、清純という意味があります。ですから、冬の寒さに耐えて緑を保つ松と竹、寒い中でもいっせいに咲く清らかな花ということが、松竹梅ということです。『歳寒三友』という言い方をしていますが、三つがひとつの象徴として寒さに耐えて新しくスタートするという意味です。
これは仏教とともに伝わったと思います。仏教以前にもあるかもしれませんが、奈良時代あたりから積極的に使われて、松竹梅はおめでたいということです。
さらに室町時代あたりから、門松のような形で使われ始めてきました。そのときの発想は、松というのは非常に強い生命力がある、と。確かに、どんなに寒くても松は雪に耐えて頑張っています。竹は成長の早さ。筍ができたと思って二、三日たつと、あっという間に背の高さになって、非常に成長が早い。ですから強い生命力と、成長の早さということで、門松にしました。松と竹というのは、新たに年を迎えたときに強い生命力と、成長の早さということで、とくに農耕民族の間に流行ったわけです。お米、その他の取り入れでも植えた種がしっかりと育ち、できるだけ早く取り入れてほしいということで、五穀豊穣を祈る最初のお正月に飾ったといわれています。

中村嘉男氏(算命学総本校 高尾学館学校長)講演より
於:2001年7月18日 ホテル日航プリンセス京都